簿記研究 外貨建取引の前受金や前渡金の処理について

簿記の勉強をしている人が、みんな嫌いな外貨建て取引で、よく間違える前渡金・前受金について、これを理解できれば間違えなくなるポイントについてお伝えします。 
外貨の現金はもちろん、外貨建て金銭債権(売掛金や買掛金、貸付金・借入金)、また未収収益・未払費用などは、決算日レートで換算替えして、為替差損益を認識します。しかし、前渡金や前受金は、決算日レートではなく金銭授受時のレートを使って評価され、決算で評価替えしません。為替差損益も認識しません。この点はよく間違えますし、記憶に定着しにくいところです。
ある一つの視点を持って考えれば、忘れづらくなりますので、そのポイントをお伝えしたいと思います。
 

確定しているか・確定していないのかという視点で考える

 
それは、確定しているか・確定していないかという視点です。
売掛金は、貸し倒れること可能性があります。貸付金もそうです。未収収益は入ってこないかもしれません。つまり、回収される(収益としてリスクから解放される)のが未来なわけです。これらのまだ確定していない債権については、まだ価値が変動するわけです。
一方、前受金はすでに回収済み(リスクから解放されている)なので、変動しません。(外国の通貨で現金を受け取っていたら、外国通貨に含まれて換算されますが)
このように、「前受金はもうもらっているから変動しないよね」と考えれば、感覚的にもわかりやすく、忘れづらいかと思います。
 

外貨建金銭債権と外貨建有価証券は完全に分けて考える

ちなみに、外貨建て有価証券は、上記の考えは全く使えません。なぜなら、有価証券は、「保有目的」によって性質が異なるため、「保有目的」にあった評価をするからです。
この保有目的は、投機目的か投資目的かで考えればわかりやすいです。
投機目的の売買目的有価証券は、今売ればいくらで売れるかが大事なので時価×決算日レートで評価します。投資目的の子会社株式は、いくら投資したかが大事なので、帳簿価額×取得日レートで評価します。
このように意味づけをすると多くのパターンがある処理でも一つ一つが理解しやすく、また忘れづらくなると思います。