メンバーの意識を高め、行動を変える方法

メンバーの意識をどうやったら高められるか、どうやったら行動を変えられるか、悩んでいませんか?

実は、適切に実施すれば効果がテキメンの「キャリアカウンセリング」というかかわりがあります。

キャリアカウンセリングは、実際に多くの企業で採用され、国も推進しています。

この記事では、キャリアカウンセリングのスキルを活かして具体的にメンバーとどのようにかかわったら良いかを解説します。

記事を読み終えると、メンバーの意識を高め、成長意欲を高めるためにどうしたらよいかについて理解いただけるでしょう。

キャリアカウンセリングとは

キャリアカウンセリングとは、仕事の悩みや、葛藤を相談したり、今後どのようになりたいか、どのような仕事をしたいか、そのためにどうしたらよいかについて、一緒に考えることです。

転職などのキャリアの転機で受ける人が多いですが、転機などでなくても効果があります。

特にマネジメントにおけるコミュニケーションにおいても、キャリアカウンセリングのスキルは非常に有効です。

キャリアカウンセリングとは何をすることかというと、次の3つのことを順番に行っていきます。

「リレーションをつくる」「問題の核心をつかむ」「問題解決にむけたアクションを決める」の3つです。

第1段階の「リレーションを作る」とは、メンバーに心を開いてもらうことです。

感じていること、思っていることを抵抗を感じずに話してもらえるような関係性を作ることです。

このような関係を作るために、「傾聴」を行います。

「傾聴」については、キャリアカウンセリングの中核を成す概念なので、詳細を後述します。

第2段階の「問題の核心をつかむ」とは、本質的な問題を把握することです。

仕事での相談において、最初に話される内容は、本質的なものではないことが多いです。

会社のことだったり、上司や先輩のことだったり、家庭のことだったり、自分以外のことがテーマとして話されることが多いです。

しかし、本質的な問題の原因は、メンバー自身の価値観や想い、考え方のクセなどにあることがほとんどです。

それらが問題の本質であることは、往々にしてメンバー自身も自覚がありません。

第1段階でリレーションをしっかり作れていれば、心を開いて話すなかで、問題の核心に触れることができるようになるのです。

第3段階の「問題解決にむけたアクションを決める」とは、本質的な問題を解決するための行動を決めることです。

メンバーとしては、自分自身がどういう人間かを再認識し、何が問題につながっているのかに気づきます。

そのなかでどうしたらよいかについて考え、アクションを決めます。

この段階で決めたアクションは、腑に落ちているので、行動につながります。

自分にとって必要であると感じ、それをすることに納得できているので、行動につながり、その行動が続くのです。

このような3つの段階を経て、本質的な問題にアプローチし、その人の意識と行動を変えるかかわりがキャリアカウンセリグです。

リレーションを作るために必要な態度とは

キャリアカウンセリングの第1段階では、リレーションを作るために、「傾聴」を行っていきます。

「傾聴」において課題になるのは、話を聞く「態度」と「聞き方(スキル)」です。

「傾聴」については、まず「聞き方(聞くスキル)」より、「態度」が大切です。

スキルがつたなくても、「態度」がそなわっていれば成立します。

傾聴における態度について解説します。

「カウンセリングの大家であるカールロジャーズは、カウンセリングにおける「態度」として、「尊重」と「信頼」が大切だと述べています。

ここでいう「尊重」とは、個人の価値観や意義の尊重です。一人ひとり、大切にしたいことや人生において意味を感じることは異なります。

その人のそれぞれの独自性や、そのかけがえのなさを認め、大切にしようとする態度です。

次に、ここでいう「信頼」とは、個人の能力への信頼です。

仕事の悩みや葛藤、迷いを超えることができるのは、その人自身です。

行動を変え、成長し、成果をだし、可能性を広げることができるのは、その人自身だけなのです。

つまり、目の前のメンバーが、自分の問題に自分の力で立ち向かい、克服できる力があると信頼することが、大切です。

あなたが、誰かに心のうちを打ち明けて、仕事の悩みを相談したいと思っているでしょう。

あなたらしさやあなたの価値観を聞こうともせず、自分の経験談や一般論などに終始してアドバイスをしてくる人の話に相談したいでしょうか?

あなたにはどうせ無理だよという態度を示している人に悩みを相談したいでしょうか?

違うと思います。

あなたらしさを尊重し、あなたならできると信頼してくれる人に相談したいでしょう。

話を聞く時には、何よりも、この相手に示される「尊重」と「信頼」の態度が重要になってくるのです。

「傾聴」とは、話を聞くスキルも意味します。

どのように質問するか、どのような応答が適切か、といったスキルです。

それは多岐にわたりますので、記事の最後にお勧めの本をお伝えしますので、ご興味のある方はそちらをご覧ください。

「傾聴」の態度とスキルが身につき、メンバーが心を開いて話をしてくれるようになると、これまできづけなかった様々な側面を知ることになるでしょう。

キャリアカウンセリングの効果

キャリアカウンセリングの効果としては、意識が変わることが上げられます。

厚生労働省の「平成29年度能力開発基本調査」によると、「仕事に対する意識が高まった」「自分の目指すべきキャリアが明確になった」「自己啓発を行うきっかけになった」「上司・部下との意思疎通が円滑になった」「現在の会社で働き続ける意欲が湧いた」などがキャリアカウンセリングの実施後の効果として上がっています。

そして、意識だけではなく行動を変えるために、意識や考え方の枠組みの変化を促すようにキャリアカウンセリングの中でかかわっていく必要があります。

同じことを経験しても人によって感じ方が違います。

例えば、上司に指導を受けた際にも、「自分はなんてダメな人間なんだ」と感じ、やる気をなくす人もいるかもしれませんし、「指導をしてくれるのは期待してくれているからだ」と感じ、やる気を出す人もいるかもしれません。これは、人のものごとの捉え方(認知)の問題です。

認知はよく窓に例えられます。

外の風景は同じでも、窓の形や大きさが変われば、窓から見える景色は変化します。

そして、見えていない部分(盲点)が存在します。

この窓の形や大きさは人によって、様々です。

自分の認知はふだんはあまり自覚しません。

ひどいとみんな同じような認知をしていると思い込んでしまっている人もいます。

しかし、適切なキャリアカウンセリングを受けることで自分がどのような認知をしているか、思考のクセに気づくことができます。

そのうえでどうするかを考えることができるのです。

そこで、変えたい・変わりたいと思えば、それは誰かに強制されたものではありません。

自分の内側からこみ上げてくる変化の欲求になります。

自分の内側からこみ上げてくる動機は、強く人を動かします。

本来、人は変化を嫌います。じぶんの内側からの欲求になるので、ようやく変化をしますし、その行動変化を続けられるのです。

意識を変え、行動を変えることはかんたんではありません。

しかし、100年以上の心理学の研究に裏打ちされたカウンセリングの手法は、意識を変え、行動を変えるために有効で、アメリカではとてもポピュラーな打ち手になっています。

まとめ:メンバーの意識を高め、行動を変える方法の解説

メンバーの意識を高め、行動を変える方法の解説について記述いたしました。

この記事の内容をまとめると下記です。

    ・3つの段階を経て、本質的な問題にアプローチし、その人の意識と行動を変えるかかわりがキャリアカウンセリグ

    ・傾聴する際には、「尊重」と「信頼」の態度が大切

    ・キャリアカウンセリングは、仕事に対する意識が高まり、本質的な問題にアプローチすることで、行動が変化する

    適切に実施すれば、「キャリアカウンセリング」はメンバーの意識や行動を変化させるのに有効です。

企業の人事担当者や管理職の人が「キャリアカウンセリング」を学び、資格を取る人も増えています。

そこまでしなくても、外部の専門家を雇ったり、傾聴を学び実践したりすることもできます。

「尊重」と「信頼」の態度を持って接すると、メンバーとの個別面談のなかなどで話される内容は明らかに変化します。

ご興味がある方は、まずは「傾聴」とは何かを学び、実践するところから始めてください。

学校などに通わなくても、本を読んで実践すれば良いかと思います。下記にお勧めの本を載せておきます。

    記事をご覧いただき、ありがとうございました。