スタートアップの資金調達

愛知県の資金調達ガイド: 「日本政策金融公庫」のスタートアップ支援資金制度&「あいちスタートアップ創業支援事業費補助金」を活用しよう

スタートアップのための資金調達は、事業成長を決めるとても重要なポイントです。 特にシードやアーリー期から中間期への成長曲線を描く中で、VC(ベンチャーキャピタル)などの投資家から投資を受ける以外の手段として、公的支援制度が注目を集めています。

本記事では、「日本政策金融公庫」によるスタートアップ支援資金制度と、愛知県の補助金「あいちスタートアップ創業支援事業費補助金(起業支援金)」の2つを紹介します。

創業期の壁を乗り越え、一歩先の成長を目指すスタートアップにとって、これらの制度は強力な武器となるはずです。 ぜひ参考にして、次のビジネス展開にご相談ください。


1.どうしてスタートアップ向け公的支援が注目されるのか

スタートアップの最大の課題の一つが「資金調達」です。 優れたビジネスアイデアや技術を持っていても、信用力や実績不足を理由に、いきなり大口の投資や融資を受けることは容易ではありません。特に、成長初期段階では事業計画はあってもキャッシュフローは不安定です。

2024年度には、国・地方自治体ともスタートアップ支援策を強化しており、これまでより利用しやすく、手厚いサポートを受けられるようになっています。


2. 「日本政策金融公庫」のスタートアップ支援資金制度とは?

概要と背景
日本政策金融公庫(以下、公庫)は、中小企業・小規模事業者向けの資金調達支援に特化した政府金融機関です。2022年の「スタートアップ育成5か年計画」を背景に、 2024年度からスタートアップ支援資金制度を大幅に強化しています。ユニコーン100社設立・スタートアップ10万社誕生という大目標に向けて、創業初期からの資金ニーズを満たし、成長を推し進めることを意図しています。

利用条件や融資限度額

  • 利用条件のキーポイント
    1. 事業計画書を策定し、事業成長を目指すこと
    2. いずれかの権利を満たす
      • 一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会の会員(賛助会員を除く。)等又は独立行政法人中小企業基盤整備機構若しくは株式会社産業革新投資機構が出資する投資事業有限責任組合等から出資(転換社債、新株引受権付社債、新株予約権及び新株予約権付社債等の取得を含む。)を受けている方
      • J-StartupプログラムまたはJ-Startup地域版に選定された方
  • 融資限度額:最大20億円(直接貸付)
  • 対応期間:設備資金・運転資金ともに20年以内(措置期間最大10年)
  • 利率:信用リスクや融資期間により適用の利率が適用されます。 無保障・無保証で利用できるケースがあり、利率見直しも。

J-Startupプログラム選定など、一定の成長期待や先行性が評価されれば、従来難しかった大口融資も受けやすくなります。


3.「あいちスタートアップ創業支援事業費補助金」とは?

愛知県は、地域レベルでもスタートアップ支援は加速中です。 その好例が愛知県による「あいちスタートアップ創業支援事業費補助金(起業支援金)」です。 愛知県は産業競争力強化とエコシステム形成を目標に据え、地域課題解決と新技術活用を軸に新市場開拓を目指すスタートアップを積極的に支援します。

補助金概要・対象者・対象事業

  • 補助率:補助対象経費の1/2以内
  • 渡し額:25万円以上200万円以下(精算払い方式)
  • 対象者:2024年4月1日~2025年1月31日に愛知県内で起業、事業承継、第二次創業を行う、地域課題(子育て支援、環境、医療、まちづくり等)を解決し得る社会的事業を立ち上げる方

伴走支援・マッチング・メンタリングなど充実サポートワンタッチ
資金援助ではなく、専門家によるメンタリング、創業期に必須の知識が学べるセミナー、必要に応じたビジネスマッチング、資金を含めた資金調達アドバイスなど、ハンズオン型支援が特徴です。

この結果、資金面・人的支援・ネットワーキングの3方向からスタートアップを強力にバックアップし、地域発スタートアップの成長をサポートします。


4. 2つの制度をどう活用すべきか?

スタートアップが検討すべきは「公的支援制度をどう組み合わせ、どの段階で利用するか」です。

  • 初期段階での資金確保
    愛知県の補助金は、25万円~200万円と融資制度に比べて規模は小さいもの、自己資金を補強したり、初期投資を下支えするのに有効です。また、メンタリングやマッチングで事業計画を練り直し、投資家にアピールできる事業モデルを段階的に磨き上げても非常に役に立ちます。
  • 成長加速期での大口資金確保
    公庫のスタートアップ支援資金制度は、最大20億円までの直接貸付にも対応可能。保証での借入が可能となり、成長期の設備投資や開発コストをかなう強力な手段となります。
  • 地域課題解決型ビジネスでシナジー
    地域課題に取り組むビジネスは、補助金制度で有利なだけでなく、J-Startup地域版との親和性も高いです。地域課題解決×先端技術=イノベーションを創出しやすい、評価されやすいため、双方の制度をうまくリンクさせて資金調達戦略を立てると良いでしょう。

5. まとめ:公的支援をフル活用してスタートアップの成長を加速させよう

スタートアップの最大の難所は、シードからアーリー、アーリー中盤から今後成長段階を駆け上がる過程での資金確保です。VCからの投資にこだわりすぎるのではなく、公的金融機関の融資制度、自治体の補助金、さらには伴走型支援を行うことで、事業計画を強化し、外部投資家の評価を高めることが期待できます。

日本金融公庫のスタートアップ支援資金制度は、J-Startupで指名を受けたり、VCで収益を得たりしているスタートアップに対して、高額融資や無担保・無保証といった大きなメリットを提供します。支援事業費補助金は、地域課題を起点に成長を目指す起業家にとって、実用的な自己資金補填と伴走支援を提供します。

この2つを上手に活用し、公的資金と支援をフルに活かすことで、持続的な事業発展への道筋をより明確に、そして強固にできることがはずです。ぜひ、これらの活用も検討してみてください。