ミライオンの人材開発ブログ

 

【診断士試験対策】「製品=市場マトリクス(アンゾフの成長ベクトル)」と「多角化戦略」の解説

企業がどの方向に成長していくかを考える製品=市場マトリクス(アンゾフの成長ベクトル)と多角化戦略について解説します。

企業がどの方向に成長していくかをアンゾフは4つに分類しました。それが製品=市場マトリクスです。

製品=市場マトリクスの内の1つの分類が多角化戦略で、企業の成長戦略を考える上での大きなテーマになります。

この記事では、製品=市場マトリクスの解説を特に多角化戦略に着目しながら行っていきます。

この記事を読み終えると、製品=市場マトリクスと多角化戦略について理解が深まります。

  製品市場マトリクス(アンゾフの成長ベクトル、アンゾフのマトリクス)

製品=市場マトリクスとは(アンゾフの成長ベクトルとは)、何か

製品=市場マトリクスは、どの方向に成長していこうかの方向性を示したものです。

アンゾフは、企業の成長の方向性を4つに分類しました。

既存の製品か、既存の市場(顧客)か、という2つの軸で、4つに分類したのです。

その表が上の図です。製品と市場を軸に4象限に分類しているので、製品市場マトリクスといいます。

またアンゾフが提唱した企業の成長の方向性(ベクトル)を分析するフレームワークなので、アンゾフの成長ベクトルとかアンゾフのマトリクスといったりもします。

製品市場マトリクスの4つの方向性の分類とは、既存の市場で既存の製品か、既存の市場で新規の製品か、新規の市場で既存の製品か、新規の市場で新規の製品か、の4つです。

既存市場で既存の製品の方向性を市場浸透戦略といいます。

これまでと戦う場所を変えない選択です。

同じ市場で新規顧客の開拓、流通チャネルの展開、顧客のリピーター化や、新たな価値の訴求などが含まれます。

営業やマーケティングによる努力をすれば推進できる戦略で、基本的な戦略といえます。

しかし、外的環境の変化などで既存市場の競争環境が厳しくなるとしんどくなります。

次の既存市場に新規の製品を投入する新製品開発戦略です。

これは、新しい商品を投入することで、これまで競合を利用していた顧客からの乗り換えや、既存の顧客の買い替えの需要を狙う戦略です。

携帯のiPhoneを考えるとわかりやすいでしょう。

携帯市場というマーケットは変えていませんが、バージョンアップした製品を市場に投入し、シェアを拡大したり、売り上げを獲得したりしています。

3つ目は、既存の製品を新しい市場に投入する新市場開拓戦略です。

これは、これまで個人向け(BtoC)に展開した企業が、同一の製品を法人向け(BtoB)に展開しだすことをイメージするとわかりやすいでしょう。

個人向けのなかでも、化粧品を男性に販売するとか(新しい顧客層)、味噌をヨーロッパで販売するとか(海外展開)などのこれまで販売のターゲットとしてなかったひとにも販売していく戦略も、もちろん含まれます。

新たな市場を開拓するには、すでにその市場に強みを持つ企業を活用することが効率的です。

そのため、M&Aや企業提携などがよく行われます。

これらの3つの戦略は、拡大化戦略といわれます。既存の取り組みの延長線上に拡大していく成長戦略です。

一方で、市場も製品も新規なのが4つ目の多角化戦略(無関連多角化)です。

多角化戦略は、もっともリスクが高く、成功の可能性が低いですが、成功すると大きく企業が成長する可能性が見込めます。

製品=市場マトリクスをはじめとする成長戦略を考えるうえで、多角化するかどうかは大きなトピックですので、多角化戦略をピックアップして、以下に解説していきます。


多角化戦略のデメリットとは

企業は多角化戦略を取らない方が良いと強く主張している本に、アルライズ著の「フォーカス」という本があります。

これまで多角化戦略を取り、失敗してきた企業の事例がこれでもかというぐらい書いてあるので、興味がある方は一度ご覧ください。(ちなみに、診断士試験の試験対策には全くなりません)

結論から言うと、多角化戦略というのは、うまくいかない場合が多いです。限られている企業の経営資源が分散してしまい、参入しているそれぞれの市場での競争に負けてしまうからです。

競争戦略の基本は、自社の限られた経営資源を効果的な部分にフォーカスして投下し、競争優位を築き、設定した市場で勝つことです。

経営資源を分散し、競争力を低下させることの多い多角化戦略は基本的には成功する可能性が低いのです。

市場のなかで旨味があるのは、市場のシェアが上位の企業です。

シェアが低い事業をいくつも抱えていると、売り上げは上がるかもしれませんが、どの事業も利益率が低くなります。これは財務的に好ましくありません。

また市場におけるイメージの面でもマイナスです。

専門的な企業であると見られる方が、その市場のなかでマーケティング上有利なのですが、企業のイメージに専門性がつきづらくなります。

さらに、外部の顧客に対してだけではなく、自社の従業員にも自社が何の会社かわかりづらくなります。

このような内外に対してのイメージを損なうこともデメリットの一つでしょう。

これまでの既存の市場や既存の製品だとこれまでのノウハウが活用できますが、新規の市場や製品だと、どこまでこれまでのノウハウが活かせるかも不確実です。

企業の強みが十分に活かせない可能性も高いです。

そのような状態で新規参入の市場で、既存のプレーヤーに打ち勝ち、競争優位を獲得できるでしょうか?

基本的には、多角化戦略は、リスクが高く、選択に慎重になる必要がある成長戦略だといえるでしょう。

ちなみに、既存事業と関連のある市場に参入する関連型の多角化の場合は、既存の経験やノウハウ、人材が活用できるので、リスクや不確実性が下がります。

多角化戦略のメリットとは

多角化戦略は、経営資源を分散し、市場での競争力を失うので、デメリットが多いです。

しかし、実際は多くの会社が多角化しています。

実は、優良といわれる企業を比較すると、アメリカより日本の方が多角化している企業が多いという事実があります。

それでは、なぜリスクが高く、不確実性も高いのに、多角化するのでしょうか。

多角化のメリットとしては、主に下記の2つがあります。

既存の市場以外のところで成長していくことが見込めることと、経営資源をより効率的に活用できることです。

コロナウィルスの蔓延より、マスクの需要が急拡大したことは記憶に新しいでしょう。

このような外部環境の変化に伴い新しい市場が創出されることがあります。

新しい事業分野を認識し、そこに参入していくと成長が見込まれます。

また既存の市場がジリ貧で、このままだと市場規模が縮小していくことが見込まれる場合は、沈没する船から抜け出すために、新たな市場を探します。

このような新規の市場に参入していく動機付けがなされるときに多角化を行います。

また、多角化をコストを低下させるという面では、経済性で出てきた「範囲の経済性」によるコスト低下や、組織スラック(余裕資源)の活用によるコスト低下などがあります。

また、マーケティングの側面でいうと、顧客を囲い込み、不動産、鉄道、レジャーなど様々な領域にわたってそのグループのサービスを利用してもらうなどのシナジー効果も期待できます。

その他に相補効果というメリットもあります。

これは、主力商品が季節性の高い商品の場合、月によって売上や利益が偏りますが、異なる季節性などの動きをする商品を扱うことでこの偏りを減らすような効果などを相補効果といいます。

固定資産の稼働率を高めるなど、経営資源をより効率的に活用できるといった効果も期待できるでしょう。

このように多角化には様々なメリットがあります。

また企業の経営陣は売上拡大の欲求を持っている(要請を受けている)ことが多く、新規市場の可能性は魅力的に見えます。

時に既存市場のシェア拡大より簡単そうに見えます。 そのため、多角化を推進する企業が多くなるのでしょう。

ちなみに、既存事業と関連のある市場に参入する関連型の多角化の場合は、既存事業と重なる部分が多いため、範囲の経済やシナジー効果が働きやすいですが、無関連型の多角化の場合は、これらの多角化のメリットも働きづらいのでより慎重になる必要があります。

ブログのまとめ

まとめ:製品=市場マトリクス(アンゾフの成長ベクトル)と多角化戦略の解説

中小企業診断士の試験対策として、製品=市場マトリクス(アンゾフの成長ベクトル)と多角化戦略の解説をしました。

この記事の内容をまとめると下記です。
・製品=市場マトリクス(アンゾフの成長ベクトル)とは、アンゾフが提唱した企業の成長の方向性を、市場と製品の軸で4つに分類したフレームワーク

・多角化戦略は、経営資源の分散を招き、市場での競争力を低下させるので、他の拡大化戦略と比べたら、リスクの高い成長戦略

・多角化戦略には、既存の市場以外のところで成長していくことが見込めることや、経営資源をより効率的に活用できることなどのメリットともあり、リスクは高いが多くの企業で行われている

今回は、製品=市場マトリクス(アンゾフの成長ベクトル)と多角化戦略について解説しました。

中小企業診断士の試験では、特に多角化戦略の特徴が出題されています。

関連型の多角化戦略か無関連型の多角化戦略かの違いも含めて、多角化戦略についての理解を深めておきましょう。

記事をご覧いただき、ありがとうございました。
  

この記事を書いた人
木下洋平

経営コンサルタント・研修講師
「ヒトが育つチームづくり」をはじめとした、人材育成と組織開発を得意としています
(保有資格)中小企業診断士・キャリアコンサルタント

投稿日 2021年3月18日

ブログのカテゴリーの一覧

ビジネススキル

ビジネススキル

ビジネスマインド

ビジネスマインド

コミュニケーション

コミュニケーション

マネジメント

マネジメント

メンタルヘルス

メンタルヘルス

モチベーション

モチベーション

新入社員向け・就職活動

新入社員向け・就職活動

営業・マーケティング

営業・マーケティング

中小企業診断士の試験対策

中小企業診断士の試験対策